2025年3月27日に、国立国語研究所(以下、国語研)にてIRシンポジウムが開催された。IR (Institutional Research)とは、大学等の機関活動を評価及び改善をするためのデータ収集・分析活動のことで、一例として得られたデータ等から研究資源の提供プロセスやその成果の適切な評価が行われる。国語研では毎年IRシンポジウムが開催されており、外部の研究者等による招待講演を行っている。
本シンポジウムに、総合技術部の泉水仁技術専門職員(機器分析グループ)が登壇し、派遣先である研究基盤統括センターの業務の一つである「琉球⼤学の全学共⽤機器に対する成果収集等の取り組み」というテーマで講演を行った。全学的な研究機器共用化の取り組みとして「新たな共用システム導入支援プログラム」及び「コアファシリティ構築支援プログラム」、研究成果の収集方法、そして得られた研究成果等の分析事例を紹介した。得られた全学共用機器の実績等を可視化することで、その研究資源を適切に評価することを目指している。
その後の全体討論では、研究成果の適切な評価とその指標についての議論が行われた。人文社会科学系は自然科学系に比べて研究成果が多様であるため、適切な評価のためには、多様な指標が必要である。加えて、評価指標は研究成果の数だけでは不十分で、その質・重要度や普及(引用)等の観点も必要であり、更に複雑なものになる。80人以上いる総合技術部でも同様の課題を抱えており、様々な分野で業務を行い、多様な成果を出している技術職員に適切な評価を行うことは、非常に難しい。派遣先によっては、可視化できる成果を出せない技術職員もいる。それでも、評価を行うことは組織運営上で重要であるため、毎年ブラッシュアップを行いながら適切な評価方法を模索していくことがベストと感じた。
適切な評価について改めて考えることができ、本シンポジウムに招待していただいた国語研IR推進室の井上雄介様に深く感謝する。


【関連リンク】
2024年度国立国語研究所IRシンポジウム
「研究成果の学術への貢献を使われ方で測る -幅広さと長さに注目して-」
https://www.ninjal.ac.jp/events_jp/20250327a