琉球大学を含む国立大学には、技術職員という職種があります。その仕事ぶりは大学に応じてかなり異なりますが、通常、学内の特定の部局あるいはさらに各研究室に所属し、教員の求めに応じて技術を提供しています。しかし、各組織にばらばらに配置されているため、技術提供分野の偏りや、異分野との連携不足、技術の継承の困難さ等の課題がありました。また、時に所属先の教員との人間関係も微妙な問題を引き起こします。こうした課題を克服する一つの方策は、技術職員全体をまとめた独自の組織を創ることでした。それによって、個々の教員ではなく、全学的な観点から求められる技術を組織的に獲得し、それを必要部局に提供していく、あるいはそうした技術を大学として継承していく。技術職員がそれぞれに獲得したい技術を学べる体制を築き、技術職員の技術レベルを上げていく。さらには異なる技術を組み合わせて新たな技術や物を作り出す、などのメリットが想定されます。
琉球大学は2021年6月に文部科学省の先端研究基盤共用促進事業(コアファシリティ構築支援プログラム)に採択されましたが、そこで掲げた3つの戦略のうちの2番目が総合技術部の設置でした。この事業に採択後、様々なレベルでの関係者との協議、規則類等の整備を進め、2023年10月1日に技術職員84名からなる総合技術部を設置しました。
この組織はマネジメントオフィスというこれまでにないフラットな体制を取っているところに特徴があります。このオフィスは4人のマネージャーと一人のシニアマネージャーによって構成されますが、各技術職員は一つあるいは複数の業務グループに所属します。現在、機器分析、環境安全管理、情報、企画戦略など、18の業務グループがあります。これらの詳細についてはHPをご覧ください。
総合技術部はまだ設置したてで、今後様々な課題に対応していくことになるでしょう。その大部分は技術職員自身による解決が求められます。しかし、この新たな組織は最終的に本学の教育、研究力の底上げを狙って設置されたものです。全学のみなさまのご理解とご協力をお願いいたします。